【医療機関向け】ビフォーアフター掲載で失敗しない!医療広告ガイドラインの限定解除要件と対策
医療機関の皆様にとって、WebサイトやSNSでの情報発信において、医療広告ガイドラインの遵守は不可欠です。
特に、患者様が関心を寄せやすいビフォーアフター写真の掲載には、厳格なルールが設けられています。安易な掲載は、行政指導や罰則につながり、クリニックの信用を大きく損なう可能性もあります。
本記事では、医療法務やウェブマーケティングに詳しい専門家の立場から、ビフォーアフター写真が原則禁止される理由や、合法的に掲載するための具体的な条件(限定解除要件)、さらに遵守すべき詳細なルールまでを網羅的に解説いたします。
法的リスクを回避し、患者様に安心と信頼を与える情報提供を行うための具体的なノウハウを身につけ、安全かつ効果的な広告活動を実現していきましょう。
目次
医療広告ガイドラインとビフォーアフター規制の基本

医療広告におけるビフォーアフター写真の扱いは、ガイドラインの中でも特に誤解されやすく、違反リスクが高い分野です。
単に「掲載してはいけない」と理解するだけでなく、まずはどのような考え方に基づいて規制されているのかを把握しておきましょう。また、他の広告表現とどのようにつながっているのかを理解しておくことも重要です。
ここでは、医療広告ガイドラインの基本構造を押さえながら、ビフォーアフター規制を正しく理解するための前提知識を整理します。
医療広告ガイドラインとは?規制の目的と法的根拠
厚生労働省が定める医療広告の規制は、患者様が適切な医療機関を選択できるように、虚偽や誇大な情報から保護することを目的としています。
この規制は医療法第6条の5に基づくもので、2018年の改正でホームページやSNSも対象となりました。虚偽、比較優良、誇大広告など8つの禁止事項が定められており、不用意な情報発信は法的リスクやクリニックの信用失墜を招く可能性があります。
これにより、インターネット上での情報発信にも、医療機関はより一層の注意を払わなければなりません。
なぜビフォーアフター写真が原則禁止なのか
ビフォーアフター写真の安易な掲載は、患者様に誤解やトラブルを生じさせる可能性があると指摘されています。医療における治療効果は、患者様一人ひとりの体質や病状によって大きく異なるため、同じ治療を受けても「誰でも同じ結果が得られる」とは限りません。
このような治療効果の個人差があるにもかかわらず、特定の患者様の成功事例を強調するビフォーアフター写真は、「誰でも同様の効果が得られる」という誤認を患者様に与えるリスクがあります。
これは、患者様と医療機関との間に存在する情報格差が悪用される可能性があるためです。厚生労働省が実施する「ネットパトロール」の令和4年度報告では、ビフォーアフター写真に関する違反報告件数が434件と、全体で第3位に位置しており、その問題の深刻さを示しています。

医療広告における8つの禁止事項

医療広告ガイドラインには、患者様の適切な医療選択を妨げ、不利益を与える可能性のある広告を禁止するため、主に以下の8つの禁止事項が定められています。
| 広告の種類 | 内容・概要 |
| 虚偽広告 | 事実と異なる情報を掲載する行為。客観的な事実に基づかない情報発信は認められていません。 |
| 比較優良広告 | 他院と比較して自院が優良であるかのように見せる広告。「地域でNo.1」などの表現が該当します。 |
| 誇大広告 | 治療効果などを過度に強調し、確実な効果が得られるかのような印象を与える広告。 |
| 誤認を与える術前術後写真 | ビフォーアフター写真などにより、治療効果について誤認を与える表現。本記事テーマである原則禁止の理由の一つです。 |
| 患者の体験談 | 個人の感想は効果が万人に当てはまるとは限らないため、掲載は認められていません。 |
| 公序良俗に反する広告 | 社会の一般的な倫理観や道徳に反する内容を含む広告。 |
| その他 | 治療内容や費用に関する不正確な情報、患者様の不安を過度に煽る表現なども禁止されています。 |
ビフォーアフター写真の掲載は“限定解除要件”を満たす必要がある

ビフォーアフター写真は、限定解除要件を満たせば掲載できると誤解されがちですが、実際には要件の解釈や運用を誤ることで、ガイドライン違反となるケースも少なくありません。
限定解除は「例外的に認められている制度」であり、要件の一部が欠けただけでも違反と判断される可能性があります。
ここでは、限定解除要件の基本的な考え方を押さえたうえで、媒体ごとの注意点やダウンタイム写真を含めた実務上の留意点を解説します。

限定解除要件とは?症例ごとに必要な情報とサイト全体の要件
医療広告ガイドラインでは、患者様への情報提供としてビフォーアフター写真の掲載は原則禁止されています。ただし、患者様が治療内容を正しく理解し、適切に判断できるだけの情報が開示されている場合に限り、例外的に掲載が認められる仕組みとして「限定解除要件」が定められています。
この限定解除要件は、単に症例写真に情報をつければよいというものではなく、
①症例写真ごとに記載すべき情報と
②サイト全体で満たす必要がある要件
という2つの観点から整理されています。
以下は、ビフォーアフター写真を掲載する際に、医療機関が満たすべき主な限定解除要件の概要です。
| 区分 | 項目 | 要点 |
| 症例ごと | 治療内容・費用等の掲載 | 症例写真ごとに治療内容・費用・リスク等を明記 |
| サイト全体 | 患者様の同意 | 本人による書面等の同意が必須 |
| サイト全体 | 自由診療の明示 | 自由診療である旨を明確に表示 |
| サイト全体 | 問い合わせ先 | 電話番号などの窓口を記載 |
また、限定解除を適用する場合は、これらの情報を患者様が容易に確認できる場所に表示することが求められます。
症例写真の直下に記載する、あるいは専用ページを設けて分かりやすくリンクするなど、閲覧者が迷わず確認できる導線設計が重要です。
掲載可能な媒体・掲載不可の媒体

医療広告ガイドラインにおいて、ビフォーアフター写真を含む広告は、媒体によって規制の対象や許容される範囲が異なります。原則として、患者様が「自ら求めて入手する情報」であり、「限定解除要件」を満たす場合には掲載が認められる場合があります。
具体的には、医療機関の公式ホームページや、患者様がクリニックに赴いて入手するパンフレットなどは、適切な情報開示と限定解除要件を満たせば掲載が可能です。
一方、新聞広告や雑誌広告、屋外看板、ポスター、折込チラシ、ポスティングチラシ、バナー広告、リスティング広告といった、不特定多数にアプローチする広告媒体そのものには、ビフォーアフター写真の掲載は認められていません。
SNS(Instagram、X(旧Twitter)、YouTubeなど)については、医療機関が情報発信する公式アカウントの場合、ホームページと同様に医療広告ガイドラインの適用対象となります。
そのため、SNSにビフォーアフター写真を投稿する際も、限定解除の4つの要件をすべて満たさなければなりません。各症例写真の投稿内に、治療内容、費用、リスク、期間・回数を具体的に記載することが求められます。ストーリーズなど、情報が流れてしまう性質のコンテンツでも、同様の対応が必要です。
ダウンタイム期間の写真掲載について
美容医療などでは、治療後に腫れや内出血といったダウンタイムが生じることがあります。このダウンタイムの経過を示す写真、例えば「術後直後」「1週間後」「1ヶ月後」といった期間ごとの写真も、ビフォーアフター写真と同様に医療広告ガイドラインの規制対象です。
したがって、各経過写真ごとに、関連する治療内容、標準的な費用、リスク(ダウンタイムの期間や具体的な症状を含む)、および撮影時期を詳細に記載しなければ、ガイドライン違反となる可能性があります。
また、「ダウンタイムなし」「腫れなし」といった、事実に反する、または過度に効果を強調する表現は、誇大広告に該当し禁止されています。患者様が正確な情報を得て、安心して治療を検討できるよう、事実に基づいた誠実な情報提供に努めることが大切です。
ビフォーアフター写真に必ず記載すべき4項目

医療広告ガイドラインの限定解除要件を満たしてビフォーアフター写真を掲載する場合、各症例ごとに4つの情報を必ず記載する必要があります。
具体的には、「治療内容・標準的な費用・リスクや副作用・治療期間や回数」です。これらを写真と共に明記することで、患者様の誤解を防ぎ、適切な判断につながる情報提供が可能となります。
1. 治療内容の詳細な説明
写真に写っている患者様が実際に受けた治療について、施術名や治療方法、使用した機器や薬剤などを具体的に記載します。専門用語は避け、一般の患者様にも理解しやすい表現を用いることが重要です。
2. 標準的な費用の明示
当該治療にかかる標準的な費用を明記します。総額だけでなく、必要に応じて麻酔代や薬代などの内訳を示すことで、費用面での誤解を防ぐことができます。自由診療である場合は、その旨もあわせて明示してください。
3. リスク・副作用の具体的記載
治療によって起こりうるリスクや副作用について、具体的に記載します。腫れや内出血、痛み、感染症、効果の個人差など、デメリットとなり得る点も含めて説明することが求められます。
4. 治療期間・回数の正確な記載
治療に要した期間や施術回数を、可能な限り具体的に記載します。「〇ヶ月・全〇回」など数値を示すことで、患者様が治療の全体像をイメージしやすくなります。個人差がある場合は、その旨を補足してください。
これらの情報は、患者様が治療を検討するうえで不可欠な要素です。網羅的に提供することは、誤解やトラブルを未然に防ぎ、透明性の高い医療情報の提供につながります。
やってはいけない医療広告ガイドラインの違反パターンとリスク
医療広告ガイドラインでは、患者様に誤解を与える表現や、不適切な情報提供を厳しく禁止しています。特にビフォーアフター写真は、治療効果を強調しやすい性質があるため、違反が起こりやすいポイントの一つです。
ここでは、ガイドライン違反となりやすい代表的なパターンと、そのリスクについて解説します。
ガイドライン違反による罰則と信用失墜の回避
医療広告ガイドラインへの違反は、単なる行政指導に留まらず、医療機関にとって非常に深刻な事態を招く可能性があります。
具体的な罰則としては、是正命令、業務停止命令、罰金刑などが科されることがあります。特に、医療法第6条の7第1項に違反した場合には、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課される可能性もあります。
罰則だけでなく、ガイドライン違反は患者様からのクレームや訴訟への発展リスクを高めます。何よりも、医療機関としての社会的信用を失墜させることが大きな打撃となります。一度失われた信用を取り戻すには長い時間と多大な労力が必要となるでしょう。
このようなリスクを回避するためには、ガイドラインの深い理解と、常に最新の規制動向を把握したうえで、継続的に対応することが一層重要になっています。専門家のアドバイスを受け、独断での判断を避けることが、安全な広告運用には欠かせません。
誇大広告に該当する撮影条件の変更

ビフォーアフター写真を掲載する際は、撮影条件を変えて治療効果が実際以上に大きく見えるようにする表現は認められていません。こうした意図的な変更は、患者様に誤解を与える行為と判断され、医療広告ガイドライン違反となるおそれがあります。
具体的には、以下のような撮影条件の変更が該当します。
| 項目 | NGとなる撮影例(要点) |
| 撮影場所・角度・背景 | 術前後で場所や角度を変え、効果が強調される撮影 |
| 照明・光量 | 術後だけ明るくするなどの意図的な光量調整 |
| メイクの有無 | 術前ノーメイク・術後フルメイクによる差の強調 |
| 表情 | 無表情と笑顔など、表情差で効果を印象づける撮影 |
| 健康状態 | むくみやクマの有無で効果のように見せる撮影 |
これらの項目については、術前と術後で可能な限り同一の条件で撮影し、客観的な事実のみを反映させることが求められます。患者様に対して正確かつ誠実な情報を提供することが、法遵守の基本であり、医療機関の信頼性を高めるうえで極めて重要です。
clinicHPではガイドラインを遵守したWebサイト制作を通じて集患を支援します

医療広告ガイドラインの複雑なルールを遵守しつつ、効果的に集患を行うWebサイトを自力で制作することは容易ではありません。
当社の「clinicHP」は、医療広告ガイドラインを熟知した専門家が、貴院のWebサイト制作を一貫して支援いたします。患者様に安心と信頼を与える情報設計とデザインを心がけ、法的リスクを最小限に抑えながら、Webサイトを通じた集患効果を最大化するご提案が可能です。
例えば、限定解除要件をクリアするための情報配置や分かりやすいリスク・副作用の記載方法、ユーザーフレンドリーなサイト構造など、専門的な知見に基づいたサポートを提供しております。医療広告ガイドラインの最新動向にも常に情報収集を行い、貴院が安心して広告活動を行えるよう、継続的に支援いたします。

よくある質問
ここでは、医療広告ガイドラインの運用において、医療機関や制作・運営担当者から特に多く寄せられる質問を取り上げます。
SNSへの投稿や写真の加工、症例写真の説明方法など、実務上判断に迷いやすい点について、ガイドラインの考え方に沿ってQ&A形式で解説していきます。
ビフォーアフター写真をSNSに投稿する場合、医療広告ガイドラインは適用されますか?
はい、医療機関が発信する情報は、媒体の形式や種類に関わらず医療広告ガイドラインの適用対象となります。
SNSへの投稿であっても、患者様への情報提供である以上、ホームページと同様に限定解除の要件をすべて満たさなければなりません。誤解を招く表現や不適切な情報の拡散リスクを常に考慮し、慎重な情報発信が求められます。
写真を明るく加工するだけでも違反になりますか?
「あたかも効果があるかのように見せるための加工・修正」は虚偽広告に該当し、ガイドライン違反となる可能性があります。
写真を明るくする加工も、術後のみを明るくするなど、治療効果を不当に強調する目的で行う場合は注意が必要です。術前術後で同一の撮影場所、照明、背景、角度を使用し、写真の解像度や画質を意図的に変更せず、自然な状態を保つことが求められています。
複数の症例写真をまとめて一つの説明で済ませてもいいですか?
いいえ、複数の症例写真をまとめて一つの説明で済ませることはできません。医療広告ガイドラインでは、各症例写真ごとに個別の説明が必要であると定められています。
これは、たとえ同じ治療法であっても、患者様一人ひとりの状態によって費用、治療期間、リスク、副作用などが異なるためです。
写真1組につき、治療内容、費用、期間、リスクをそれぞれ具体的に記載することで、患者様は提示された情報を正しく理解できるようになります。
まとめ|医療広告ガイドラインを厳守しながらビフォーアフター写真を掲載しよう
医療広告ガイドラインの遵守は、患者様の安全と医療機関の信頼性維持に不可欠な要素です。ビフォーアフター写真の掲載は原則禁止されていますが、限定解除要件を正確に理解し、これを満たせば適法な掲載が可能となります。
正確な情報開示と厳格なルール遵守が、効果的な集患とトラブル回避の両立を実現するために重要です。特に、写真の加工・修正を行わない、撮影条件を統一する、そして症例ごとに治療内容・費用・リスク・期間を詳細に記載するといった具体的な取り組みが求められます。
このような専門知識を持つWeb制作会社との連携も視野に入れて検討していきましょう。ガイドラインに沿ったWebサイト制作については、ぜひ弊社にご相談ください。
















